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不格好経営:書評・レビュー

DeNAをご存知ですか?
DeNAはモバゲーやビッターズ、モバオクを運営しているインターネット会社です。横浜DeNAベイスターズも有名ですね。
不格好経営はDeNA創業者南場智子氏の著書です。

DeNAはモバゲーで収益を上げている会社として認知されているかもしれませんが、DeNAショッピング(旧ビッターズ)モバオクDeNABtoBmarket(旧ネッシー)ZEROSTRE等を運営していることもあり、私は堅実な経営をしているな、という印象が強かったです。
多角経営は創業者である南場氏の意向なんだろうな。と漠然と思っていましたが、仕事をどんどん部下に任せていくからこそ、新しい事業が生まれていくのか。と本書を手に取って感じました。

本書でも触れていますが、南場氏は以前までブログを更新していました。こちらもとてもおもしろいブログなので南場氏に興味がわいた方は南場氏のブログも目を通されると良いでしょう。
少しぶっ飛んでる感が南場氏と同じマッキンゼー出身(と噂の)のちきりん氏のブログと似ていて何ともおもしろいです。

南場氏が本書を執筆した理由

南場氏はご主人が病気になり、夫の介護に専念するために代表取締役を退きました。
そしてそれから2年が経過し、ご主人の病状も良い方向に向かい、少しずつ時間が取れるようになってきたこともあり、現場に費やす時間を増やすようになりました。

現場復帰の第一弾の仕事として、私は本書に取りかかった。家族の闘病を通して知り合った医療関係者など、これまで接点のなかった人たちと親しくなると、世間でのDeNAのイメージが実態とかけ離れていることがわかり、愕然とした。世間一般にもっとDeNAの「素」の姿を知ってほしい。それが本書に取りかかる、ひとつの大きなドライブとなった。

「不格好経営」4P

社会からのDeNA(モバゲー)への印象は決して良くありません。
ゲームの仮想通貨に月何十万円も投じるユーザーが表れ、コンプガチャ問題についても社会問題となりました。
私のソーシャルゲームへの認識は「楽しむゲーム」ではなく、「お金をむしり取るゲーム」という認識です。
同じような認識を持つ方もいらっしゃるのではないでしょうか?
それはDeNAに限らず、今流行っているソーシャルゲーム全体の構造の問題であると思います。

南場氏はそうした目で自社の社員が見られていることが辛くて耐えられなかったのだと思います。「こんなに純粋なやつらが作っているんだ」ということを世に伝えたかったのかもしれません。DeNAの良い所を伝えたい、主張したい、という一心で執筆されたのだと思います。それだけ、社員のことを愛しているのだと私は感じました。

 

DeNAの創業は不格好経営だったのか?

 それにしても実際書いてみると、わが社の歴史はひどい。世間さまにここまでアホをさらけ出していいのだろうかと思うほど、ひどい。もし歴史を巻き戻して、立ち上げ期をやり直せるなら、あのときと同じようにやることはひとつもないだろう。

「不格好経営」4P

本書のタイトルにもなっているように南場氏はDeNAの創業は失敗のオンパレードだった。と語っています。
南場氏はハーバードビジネススクールでMBAを取得、そしてコンサルティング会社、マッキンゼー・アンド・カンパニーのパートナー(共同経営者)まで上り詰めた人です。
まさに、一流企業の社長にアドバイスをする経営のプロと呼ばれる経営コンサルタントです。
そのコンサルタントが創業し会社を経営をするのだから、さぞかし上手くいくだろうと思ったらそうはいかなかった。ということです。

私には本書を読んで不格好経営だな、とは感じませんでした。
第一にリクルートとソネットからそれぞれ5000万円ずつ出資を得ることに成功しています。普通のベンチャー企業ではこんなマネは出来ません。
優秀な人たちがどんなことがあっても諦めず、前のめりに進んでいった結果が今、というような印象を受けました。致命的な過ちを犯さず、堅実的な経営を続けてきたからこそ、今のDeNAがあるのでしょう。

本書ではDeNAを創業し、経営していく上での失敗の数々が語られていますが、私が大きな失敗と感じた項目は下記の2つでした。

1.出資比率

DeNAはソネット、リクルート、経営陣でそれぞれ5000万円ずつ出資して会社を設立しました。
南場氏は本書で明言を避けていますが、この点についてはとても後悔をしているように見受けられました。
ソフトバンク、楽天、GREE、サイバーエージェントといった大抵のオーナー会社は上場まで創業者が過半数の株式を所有しています。
過半数以上を所有していることで会社の舵取りも楽になりますし、大株主による株式の売却に怯えずに済みます。
現にリクルートとソネット(ソニー)は、DeNAの株をすべて手放しています。
DeNAを我が子のように想っている南場氏にとっては自社の株が手放されることは何よりも辛いことだったのではないでしょうか。
我が子の行く末を見届けてほしい、絶対に後悔はさせない、という気持ちで経営をされているはずです。
DeNAが現在、率先して自社株を買い進めているところを見ると、創業時の出資比率は一番の失敗だったと言えるのではないでしょうか。

せめて個人での借入をしてでも過半数は取得しておきたかった、というのが南場氏の本音なのではないでしょうか。

 

2.システム会社の逃亡

DeNAは創業と共にオークションサイト(後のビッターズ)の開発に取りかかりました。
DeNAはオークションサイトのシステムを外部の開発会社に委託していました。
その外部の開発会社が納期日になって「実は出来ていませんでした。」という、何ともよくありがちな話でした。
確かに、マッキンゼー出身者が3人も集まって、これはお粗末かもしれません。目の前の仕事に忙殺されていたとはいえ、未然に防ぐことも出来たことでしょう。
ただ、会社を経営していればこのような問題はいくらでも起こります。

インターネット事業で核となるシステムの面を外部に委託するということはとてもリスクが伴うことです。

起業を考えている方がいれば、伝えたいことがあります。
あなたがもし、インターネット事業で起業を考えているのであれば、システムは自社で開発することを徹底しなければなりません。
どんな素晴らしいアイディアがあっても、それを実現することが出来なければ価値はありません。
アイディアに価値はないのです。
あなたがプログラミングが出来ないのであれば、あなたのアイディアに心から賛同してくれる仲間を見つけなければなりません。

DeNAはこの問題も何とか乗り越え、後にビッターズをリリースすることとなります。

 

DeNAはなぜ成功したのか?

私は南場氏のカリスマ性と強引さ(きっと父親譲り)に引き寄せられた優秀な人材がいたからであると思います。
DeNAは南場氏をはじめとするマッキンゼー出身者、そして現DeNA守安社長をはじめとする日本オラクル出身者が集まって築いた会社です。まさに、超一流企業から集まった超優秀な人材です。

しかし、それだけでは成功できませんでした。
結果的にビッターズはヤフーオークションからシェアを勝ち取ることが出来なかったからです。
ビッターズはヤフーオークションに白旗を振り、拡大路線から利益を出す路線へ切り替えました。

では、DeNAはどのようにして成功したのでしょうか?

DeNAが成功したのは天才エンジニアの川崎 修平氏の技術力によるものです。
川崎氏がひとりでモバオク、モバゲーを立ち上げ、大ヒットへと導きます。
モバオク、モバゲーという二つの事業がDeNAを急成長へと導き、パソコンからモバイルへとシフトさせたのです。

川崎はDeNAに入社する前、「オークション統計ページ(仮)」というウェブサイトを運営していた。ヤフー追撃時に私たちが食い入るように見つめていた、例のサイトだ。各ネットオークションサイトの出品数比較から始まり、入札者が欲しいモノを一括検索できたり、商品の相場を確認できたり、そんな機能がどんどん拡充されていた。

「不格好経営」103P

「オークション統計ページ(仮)」というサイト名を聞いてピンと来ました。
そうです。つい先日上場した「オークファン」のサービスです。

オークファンの沿革に2001年4月オークション統計ページ(仮)運営開始、2006年2月オークション統計ページ(仮)を営業譲渡により取得、と記載されています。
オークファンのこのオークション統計ページ(仮)が川崎氏が作り上げ、運営していたサイトなのです。

正に天才・・・。

川崎氏の貴重なインタビュー記事は下記から読むことが出来ますので是非興味のある方はご覧下さい。

川崎修平@モバゲータウンは午後ティーだけで三徹する

又、本書にはこのようにも記されています。

(川崎氏が)いつ正社員になったかは覚えていないが、現在は取締役になっている。口べたなため、大人数の会議より一対一でゆっくり話す方がいろいろ引き出せる。名前が修平なので、春田と私は「修ちゃん」と呼び、川田と守安は「先生」と呼んでいる。川崎の入社後、優秀なエンジニアが吸い寄せられるように集まってきた。

「不格好経営」105P

 

終わりに

DeNAは新卒は東大、京大、中途は外資コンサルタントというように超優秀な人材が集まっている会社の印象を受けます。
そして、社員はアグレッシブに活動しているように感じますが、独立心が強い社員が多いためか優秀な人材は起業の道(株式会社Donuts)を選ぶようにも見受けられます。
DeNAの大躍進は川崎氏が支えてきたようなものですから、今の時代にマッチした第二の川崎氏のような天才が現れないとここからの躍進は難しいのではないか・・・と感じます。

今後のDeNAはモバゲー頼りではなく、より多角経営を進めていくのではないかと私は予想しています。つまり、ヤフーや楽天のようなポジションを目指しているはずです。その点がゲームに全力を注いでいるグリーとは異なる点のように感じています。

本書の紹介とはだいぶズレてしまいましたが、本書は大変読みやすく、わくわくさせてくれます。
南場氏はこんなに人間味があって、ユーモアがあって、素敵な人なんだな、と本書から伝わってきました。
そして、南場氏を支える春田氏、守安氏とのやりとりもとても楽しめます。

DeNAの社員はきっと誇らしいでしょうね。羨ましいです。

本当にこれからが楽しみな会社ですね。

DeNAの挑戦は始まったばかりです!

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